RESAS廃止後の代替データAPI
RESAS(地域経済分析システム)のAPIは2025年3月24日に提供を終了しました。人口・産業・観光・特許などの地域データをRESAS経由で引いていた処理は、そのままでは動きません。このガイドでは、廃止されたRESASの各機能を、どの現役APIに移すべきかを指標別に整理し、移行でつまずきやすい点と具体的な置き換え手順までまとめました。既存コードの棚卸しから始められる構成にしています。
RESASは終了済み(2025-03-24)
RESAS APIは提供を終了しており、新規の取得はできません。人口構成・産業構造・観光・特許・地方財政などをRESAS経由で取得していた場合は、別の公的APIへ移行が必要です。RESASは複数統計を独自に加工・結合した「分析済み」データを返す性格が強かったため、移行では同じ数字が一発で再現できるとは限らない点を最初に押さえておきます。
図鑑では旧RESASの各ツール(人口・人口ピラミッド・産業・観光・特許・地方財政など)を「提供終了」として残し、それぞれの代替先を案内しています。まずは既存コードが叩いているエンドポイントを一つずつ棚卸しし、「この指標をどのAPIに載せ替えるか」を表にするところから移行を始めるのが確実です。
代替となる取得先
人口・産業・家計などの基幹統計は e-Stat(および統計ダッシュボード)で広くカバーできます。RESASが束ねていた元データの多くは、もともと e-Stat に収録されている統計表なので、そこへ直接アクセスする形に置き換えるのが基本方針です。自治体別の比較や時系列の整列も e-Stat 側のユーティリティで対応できます。
地価・不動産は不動産情報ライブラリ(realestate_landprice / realestate_transactions)、企業情報は gBizINFO(gbiz_search / gbiz_detail)/法人番号(houjin_search)、地理空間は国土地理院(gsi_geocode)/PLATEAUが代替候補になります。景気の体温計となる主要指標を手早く出したいだけなら、キー不要の統計ダッシュボード(dashboard_indicators / dashboard_data)が便利です。用途に応じて組み合わせてください。
指標別の移行マッピング(具体例)
①人口・人口ピラミッド:RESASの人口系は e-Stat の国勢調査・人口推計に置き換えます。estat_search で該当表を探し、estat_time_series に指標コードと yearFrom / yearTo を渡せば、RESASと同様の年次推移が得られます。自治体を横並びで比較したいときは estat_compare_municipalities に市区町村コードと指標を渡すと、指標×自治体のマトリクスが返ります。
②産業構造:産業別の事業所数・従業者数は経済センサス等が e-Stat にあります。estat_search で「経済センサス」を検索し、estat_meta で産業分類の分類コードを確認してから estat_data で絞り込みます。分類軸の指定が必要になるぶん RESASより一手間増えますが、より細かい切り口で取れます。マクロの景況感は dashboard_indicators / dashboard_data でも手早く取得できます。
③観光・地方財政・特許:観光や地方財政の細目はRESAS独自の集計だったため、完全な1対1置換が難しい場合があります。地価・不動産の動向は realestate_landprice / realestate_transactions、企業の集積や活動は gbiz_search で近い切り口を作れます。まず必要な指標を洗い出し、「完全代替できるもの」「近い代替で妥協するもの」「代替が難しいもの」に仕分けてから設計に入ると、移行の見通しが立ちます。
よくあるつまずき
RESASは「分析済み」データを返していたため、移行先の生の統計表と数字が合わないことがあります。移行先では分類軸の指定や年次の突き合わせを自前で行う必要があり、RESASと同じ数字が出ないのは、多くの場合この加工の有無が原因です。RESAS時代の値と厳密一致を求めず、定義と加工方法を確認したうえで運用してください。
統計ダッシュボードとe-Statは指標の粒度が違います。ダッシュボードは主要指標を手早く取るのに向き、細かい分類やクロス集計はe-Statが得意です。「速報的に主要指標だけ欲しい」のか「細目まで欲しい」のかで使い分けると、無駄な取得が減ります。
自治体コードの世代管理も落とし穴です。RESAS時代のコードをそのまま使うと、合併済み自治体で欠測や不整合が出ます。e-Stat では estat_merger_check で合併の有無を確認してから時系列を接続してください。市町村合併は1999〜2010年に集中しており、この期間をまたぐ時系列は特に注意が必要です。
移行のコツと関連ツール
RESASは複数データを束ねた分析向けサービスでしたが、移行先は「統計はe-Stat、地理はGSI、企業はgBiz、不動産は不動産情報ライブラリ」のように分野で分かれます。まず必要な指標を洗い出し、分野ごとに最適なAPIへ割り当てるのが近道です。1つのAPIですべてを賄おうとせず、分野ごとに使い分ける前提で設計してください。
どのAPIに割り当てるか迷ったら gov_cross_search に query を渡して横断的に候補を当たり、gov_api_catalog で全ツールの認証区分・取れる項目を俯瞰します。移行の全体像(どの指標をどのツールに載せるか)を先に描いてから個別実装に入ると、手戻りが大幅に減ります。
移行チェックリスト
移行を確実に進めるには、次の順で棚卸しするのがおすすめです。まず既存コードがRESASのどのエンドポイント(人口・産業・観光・特許・地方財政など)を叩いているかを洗い出し、指標ごとに一覧化します。ここで「何を取っていたか」を明文化しておくと、代替先の当てはめがぶれません。
次に、各指標を「e-Statで完全代替できるもの」「統計ダッシュボードで近い値が取れるもの」「不動産情報ライブラリやgBizINFOなど別分野で代替するもの」「代替が難しく仕様変更が要るもの」に仕分けます。完全代替できない指標は、表示項目自体の見直しが必要になることもあるため、早めに切り分けておくと後工程が楽です。
最後に、代替先ごとの認証要否(e-Statはキー必要、統計ダッシュボードはキー不要)と、自治体コードの世代(estat_merger_checkで合併確認)を確認してから実装に入ります。この3ステップを踏むと、RESAS依存のコードを漏れなく現役APIへ載せ替えられます。
出典
元システムエンジニア。Web系アプリ開発6年+ソリューション9年、IT実務およそ15年。個人開発者として、政府オープンデータや各府省のAPIを実際に叩いて検証し、「何が取れるか」「実装時にどこで詰まるか」「どう活用するか」を一次検証にもとづいて記録しています。
運営者・検証方針について →